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参加レポート:鑑定評価だけじゃない!不動産鑑定士の上手な使い方


 2023年6月23日(金)、第211回のJLP定例会が大阪産業創造館で開催されました。

 今回は「鑑定評価だけじゃない!不動産鑑定士の上手な使い方」です!」というテーマでした。講師は不動産鑑定士の山本祐一郎さんです(株式会社まほろ不動産鑑定士事務所代表取締役、宅地建物取引士)。

 小学二年生から高校まで剣道一筋、大学では自動車部に入りレースで日本一を達成する等、目標を決めて徹底的にやり抜き結果を出すという山本さんの姿勢は幼少期から培われたようです。

 次に、不動産鑑定士の主な業務内容についてお話いただきました。不動産鑑定士の独占業務はその名の通り「不動産の鑑定評価」で、依頼者から報酬をいただいた不動産の価格や家賃を算定して鑑定評価書を作成することです。鑑定評価書の使われ方としては、例えば親族間の不動産売買における価格が適正かどうかの疎明資料、賃料増額請求における適正賃料の資料等、様々な用途があります。

 不動産鑑定の評価手法としては、費用性から評価する「原価法」、市場性から評価する「取引事例比較法」、収益性から評価する「収益還元法」という3つの手法があります。

 

 そして、本講演のメインテーマである「不動産鑑定士の使い方」についてです。不動産鑑定士の独占業務である鑑定評価業務では必要な資料の収集・整理や検討、価格形成要因分析といった厳密なプロセスが必要となります。これに対し、このプロセスを一部省略・簡略した(鑑定評価ではなく)調査報告という業務もあり、鑑定評価に比べると費用も低くなるというメリットがあります。

 また、不動産の専門家としての知識やノウハウを生かして、例えば賃料増額交渉案件において、増額通知発送前の段階でそもそも増額請求が認められる見込みの程度のアドバイスや、それを踏まえての戦略立案といった形でサポートいただくという業務もあります。

 更には、賃貸オーナーからテナントに対する物件からの立ち退き請求にあたり、立ち退き費用の算定のために不動産鑑定士を活用する、という方法もあります。

 山本さんは、定型的・一般的な案件だけでなく、むしろ非定型的で難易度の高い案件を得意とされています。宅地建物取引士の資格もお持ちで、それを生かして、土地を保有しているオーナーからの依頼を受け、有効な土地活用として自らテナントを見つけて交渉し賃貸借契約の成約まで対応するといったアドバイザリー業の実績もあるということでした。

また、不動産会社向けに役所調査に有用なツールを作成・公開したり、不動産のプロフェッショナル向けのコミュニティを立ち上げる等、新たなサービスや取り組みを続けている山本さんの行動力と熱意には非常に感銘を受けました。

 従来の不動産鑑定士の業務の枠内にとどまらず、クライアントのため最善を模索し続けるという姿勢、大変勉強になりました。山本さん、貴重なお話をありがとうございました。

 定例会後は、堺筋本町の中華料理屋「晴華」で懇親会を行い、講師の山本さんをはじめ、多くの方に参加いただき、交流を深めていただきました。

 次回定例会は7月27日(木)です。「非公開会社における少数株主対策~事業承継での支配権闘争と争族回避策~」というテーマで企業法務を専門とする弁護士の方に講演いただきます。ふるってご参加ください。