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参加レポート:第189回JLP定例会「働き方改革のポイントを分かりやすく」


2019年2月2日(土)15時からJLPの189回定例会が開催されました。今回は「働き方改革のポイントを分かりやすく」というテーマで、当法人理事で社会保険労務士の池上裕美先生にお話しいただきました。

 働き方改革関連法により改正・創設された内容は多岐にわたりますが、特に①長時間労働の是正、②年次有給休暇の取得義務、③同一労働同一賃金に重点を置いてお話ししていただきました。

まず、①長時間労働の是正について。これまでは特別条項付き36協定を結ぶことで事実上無制限に時間外労働をさせることができており、実務上も労基署が上限を超えているかどうかはあまり厳しくチェックしていなかったようです。今回の改正では、特別な事情がある場合であっても時間外労働の上限を設け(年720時間以内、単月100時間未満、複数月平均80時間以内)、その違反に罰則を設けられるという内容になっております。
また、これに伴い、36協定締結にあたって労働者代表者の選任の手続の合理性が求められ、社長にとって都合のよい人選となっていないかが労基署にチェックされるようになるので、その点は企業として留意しなければならないということでした。

②年次有給休暇の取得義務について。わが国の有給休暇の取得率は高くはない状況です。そこで、今回の改正では、企業は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、そのうちの5日について、毎年時季を指定して付与しなければならず、その違反に罰則が科せられることになりました(ただし、当該労働者から時期指定をしてきた場合には、その日数は控除)。
年次有給休暇の付与が企業の義務となることで、労働者がその年次有給休暇分を返上して働きたいとして出社した場合でも企業の義務違反となり得るという点に留意が必要で、企業としても対策を考えなければならないということでした。

最後に③同一労働同一賃金について。いわゆる正社員と非正規社員では、賃金・手当や福利厚生について差が設けられていることが多いです。今回の一連の改正の中で、パートタイム労働法も改正され、短時間労働者(パートタイム労働者)だけでなく有期雇用労働者も保護対象となりました。正社員(無期契約労働者)と、有期契約労働者・パートタイム労働者の待遇について不合理な差を設けることが禁止されます。
各種手当を正社員にのみ付与している、あるいは正社員と非正規社員とで差を設けている場合、その待遇差にどこまでの合理性があるのか、企業としては十分な説明ができる必要があります。今回の改正を踏まえ、多くの手当を設けている企業においては、その見直しも含めて一度整理しなければならないというお話しでした。

お話しの途中で何度も質疑応答がされ、また参加者同士で議論がされたりと活発なやりとりがなされ、参加された皆様のこのテーマに関する関心の高さがうかがえました。厚労省が詳細な情報を提供しているので厚労省のHPをチェックして最新情報をキャッチアップすべきとのアドバイスがありました。
働き方改革関連法は複雑で理解が難しいところですが、実務上の留意点も含めて全体像についてイメージを持ちやすいようにお話しいただき、大変勉強になりました。
池上先生、ありがとうございました。

次回定例会は4月6日(土)で、テーマは追ってHPやフェイスブックで告知いたします。奮ってご参加いただければと思います。


文責:上村裕是